「ピー」(霊) その3  ―――秩序を保つための存在

「ピー」(霊) その3  ―――秩序を保つための存在

村の日常生活ではピーという観念を迷信として一蹴する態度も一般的になっている。人々の生活が「お金」探しを中心に苦労を強いられていくが、さらに村人たちの道徳の問題も浮上してきた。

村には共有地がある。大抵はお寺や、未開拓の雑木林だったり、共同墓地だったりする。近くに山があると山の一部も村の共有地がある。竹細工なんかは共有地の竹やぶから切り取られてきたものを使う。最近の政策でそういった共有地が買収され、山に住む民を移住させることもしばしば増えている。移住がなされ、移民たちのコンクリートとレンガの新居を見て、一部の村人は少々嫉妬を感じることもあるようだ。
さて、共有地だが、最近は行政村長を中心とする一部の村人たちが村の利益のためにという名目で外の人間に長期の期限付きで土地を貸すことが増えてきた。土地を貸すこと、業者がそこに魚の養殖所や工場をたてる。すなわち森を切り開くこと。それに、何百年という大木を業者に売ってしまうこともある。老人たちの話では僕がお世話になっている村はかつて大木と広い森に囲まれていたという。

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