中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
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日常に生きる ② 「わーんぼろくそ!!」

おとといは大雨。
雨の中、長靴を履いて水溜りをけってはしゃぐ子供たち。
僕のズボンの裾は濡れていく。
四頭身くらいのわたしたち・ぼくたちは、ぴちゃポちゃ水溜りを楽しそうに歩いていく。

今日は、初夏のような晴天の空。

万博公園のなかを歩く。
バラの香りがそよ風にのって漂ってくる。
その香りをそばで嗅ぎながら、バラのソフトクリームを食べる贅沢。


5月22日の大阪「無茶空茶」でのイベントは、久しぶりに<苦手な>トークをしながらの演奏だった。
「見る、聴く、味わう」といテーマで行なわれた、友人・竹田武史さんの美しい写真と僕のひょうたん笛、そして黄さんが厳選した美味しいお茶を楽しんでいただくイベント。
いかがだったでしょうか。

IMG_2283.jpg


茶屋の主、黄さんはとっても繊細な感性を持っている。
去年久しぶりにお会いしたとき、黄さんは柿をそっと食べて、「あ、渋い」と自然とことばが口をついて出た。

あの日も、僕ははっとした。
夕方から雨が降りそうな天気になり、僕は「雨ですかね…」とつぶやいた。
黄さんは横でニコリと笑顔で「雨が降ったときのアスファルトの匂い、私は好きです」と言った。

雨が降ったばかりのアスファルトの匂い、いやじゃない。
都会にいたら日常ではまったく土や木々の匂いは漂ってこない。
雨が降りだしたときだけは、日本にいても、アジアの遠い村にいても、なんとなく、同じ土くさいような匂いがする。
あの感じ。

僕が行ったことのない土地も、あの同じ感覚の匂いがするだろうか。


万博公園の側にあったエクスポランドの跡地で、エクスポファームというイベントが数ヶ月開かれていた。
あの敷地の奥に、もとはプールだった廃墟がある。
そこはしばらく子豚が数匹放し飼いで歩いていた。
プールという広々とした立体的な囲い。

家畜のくさいにおい。
家族連れは「くさ、くさっ!」と連呼する。
僕はたまにわざわざ嗅ぎに行った。
ちょっと心が落ち着くにおい。

今日本では口蹄疫で大騒ぎだけど、種牛と種豚というのがいることを僕は初めて知った。
国産の家畜は人為的においしい食用家畜として生まれて来るように、造られているんだ。

家畜も当たり前のように自然の交配で生まれてくるもんだとばっかり思っていた。


タイ族の村の僕の友人が、いつだったか、自慢していた。

「おれの結婚式には丸々太った美味しい豚と、子豚の丸焼きをだすんだ」

巨大な豚を指差した。

彼の結婚式には見事な黒豚を家の中庭で3匹も屠殺した。


村の結婚式では豚の屠殺は自分たちで行なうのが当たり前だ。
豚は臆病だから、なかなか小屋から出てこない。
棒で追い立てられて、ぶひぶひと大鳴きしながら中庭に出てくる。

じっと立ち止まった所を…、
ナイフで一突きだ。
下手な人がやると何度も刺さなければならない。

RIMG1587.jpg

すぐに血をお盆にとって塩を加えてかき混ぜる。
熱湯をかけたり、藁で炙って、毛を削り落とす。
見事な手つきで解体し、すべての内臓や肉や血を余す所なく料理に使う。

RIMG1604.jpg

日本では豚は生肉で食べると危険だ、と言うのだが、村では関係ない。
男性たちの特権で、屠殺したての内臓のある一部をすぐに生で食べる。
生豚肉のタタキを自家製の「草酢」に入れ、にんにくや唐辛子、生姜、香菜をかけて、生野菜の千切りとあえて食べる。
さらに豚の新鮮な血と漬物を混ぜれば最高のご馳走だ。
表現できない美味しさ。

翌日になったら食べ余ったこの料理に火を通して米麺と食べる。

米酒を飲みながら食べる。

「おーっ、わーんぼろくそ!!

ん?

わーん・・ボロクソ?

むこうのスラングで「ちょうバリうまい」という意味だ。

おいしいは「ワーン」。

もうちょっと感情をこめて、

ボロクソにバリうめぇ! てやんでぇ』

と想像するとよい。


家畜を飼うのは大変だ。毎日、池に自生する草を刈ってきて、細切れにして、何時間か煮込んで餌とする。
それを毎日、何ヶ月も、何年もかけてようやく大きく育つ。
それは疲れるし、クサイし、病気にでもなったら大変だ。

だからこそ、友人たちの結婚式はみな手間隙かけた豚を大胆かつ丁寧に調理して「わーんぼろくそ」な料理を創る。

僕はエクスポランド跡地の「豚プール」がそのまま続いて欲しいと願う。
いつでも、だれでも、あの匂いをかいで、尊い生命のありがたさと労働の大変さを感じるために。
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