こころをふるわせる音 山のひょうたん笛と南方のひょうたん笛


こころをふるわせる音 
―― 山のひょうたん笛と南方のひょうたん笛


ここ数回のライブでは雲南の山地民パラウン(ダァン)のひょうたん笛を演奏した。

一般的に知られているひょうたん笛と比べたら、まったく想像しなかった音だと思う。
とてもか細く、びりびりと震える音を奏でる。

音量も小さく、ライブでは遠くにいる人にはなかなか聴こえない。

耳に両手をあてて、
耳をすませる。耳の中に音を吸い込むように。

しかし、山の中ではなぜだか、この音がとても響いて聴こえる。


こちらはカチンのユエゾ。ヒョウタンがない笛。
ユエゾ
山のなかは、もちろん木々が多く、枝葉がざわめく音、風が吹きぬける音、虫がなく音、鳥や動物の啼き音など、
平地にいるときよりもずっと身近に聴こえてくる。

たくさんの濃密な音のささやき。

山のひょうたん笛はその音と音のあいまをぬって、しゅっ、と聴こえてくる。


こうしたひょうたん笛の音色は、実はかなり広い地域に共通するものだった。
今、僕が演奏するひょうたん笛の音色は改良が加えられたものといっていい。

さらに上海や北京で大改良が加えられたひょうたん笛は、タイ族の笛の音色に比べてまったく別の音がする。

南方(ビルマや北部タイ、ビルマ近くの雲南省辺境地域)のタイ族が演奏していたひょうたん笛も同じような優しい音色がする。

亜熱帯の地域では、その昔、人びとは高床式でかやぶき屋根の家屋に住んでいた。

隙間だらけの家屋。外の音も、内の音も、浸透する。

音が境でさえぎられることはなかった。

他人に聞かれてしまうから、外でも村のなかや、家屋のなかで話す声もどこか小さめの声だ。

南方のタイ族の笛も、息を入れて奏ではじめるとき、独特な、ことばでは説明できない、

ぶぉンン…

という音が響く。

自然の音に混ざり合っているが、その音の存在ははっきりとわかる。
延々と循環呼吸で演奏される「うた」を聞いていると、やがて「うた」と自然の音という区別の境界も意識の中から消えていく。

そんな、こころをふるわせる音に、
僕はまた出会いたい。

老人耿馬タイ族のビー・ラムダオ
ムンディンの老人。古い茅葺屋根の家屋にて。

コメント

ぼくらの好きなものって、博物館に入れてしまうことのできないものばかりだよな。さりとて、守ろう、とすると何かが違ってしまうこともあるし。

まあ、長い歴史の中ではそんなふうに消えていった素敵なものがいっぱいあったのだろう。

文化に、守るべきもの、なんてないのかも。

ことばや文字にしたとき、もうあとづけになってしまう。生み出していく、そんな未来を志向した生き方を送りたいですね。

せせらぎのようないい音ですね(*^_^*)

ライブで聞きましたが、小さい音と言うよりも自然の音とマッチしていて、趣がありますね。

楽器ができるって素敵な事です<(_ _)>
感動続編また行きたいです。(*^_^*)
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