中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
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ひょうたん笛(フルス)の低音「ソ」について

これまで何度も同じ質問をうけてきたので、今日はここで少しだけ解説します。

ひょうたん笛の指孔をすべて押さえた状態(前6つ、後1つ)が低音「ソ」(中国で言う筒音ソ)です。
よく、このソの音が西欧音階でいう平均律にあっていない、という指摘があります。
この理由はいくつか考えられます。

その前にすこしエピソードを。
僕の先生、故エンダーチュエン(哏全)師匠とこの問題について話したことがありました。
じつは、ひょうたん笛は、器用な人なら作ろうと思えば簡単に作れてしまう楽器です。

笛の音程を決定するのが、笛の竹の太さ(空洞の直径)、そして穴を開ける位置と距離、リードの構造(舌の長さと厚さ)、この3点です。
タイ族の伝統的な古いひょうたん笛は西欧の平均律とは無関係ですが、ミと低音ラの副管を同時に吹いて「うねらない」響きを探しました。そしてその副管の音程にミとラをあわせ、あとは感覚的に別の孔の音を調整します。

しかし、西洋音階ではこれではだめで、440ヘルツの音を基準に音作りが進められます。
実は、エン先生は演奏する際、かなり呼吸を大胆にコントロールする人でした。
ちなみに、エン先生の笛は440ヘルツには合わせません。少し高めに設定しました。

ですので、一定の呼吸でひょうたん笛をふいても、音程は440にならないように出来ています。
低音ソはとくに強く吹くのが先生の癖で、その癖のために孔の位置を調整していました。

初心者(おそらく上級者でも)はそこにあまり気づきません。
先生はそこの秘密はうちあけませんでした。

エン先生はわざと孔の位置をずらしたりしていたので、直接指導をうけない生徒は音程がくるっているように感じたこともありました。

ですが、それでは売り物にならないので、一応初心者用にも孔を調整しました。孔の調整は、初心者用と先生自分用、二つあるといってもいいのです。また、リードも同様です。


中国には先生のひょうたん笛をもとにコピーして売れるようになった楽器製作者がたくさんいます。
たいてい、先生の真似をしているので穴のあけ方が似ている。位置も似ている。リードのきりこみも似ている。
しかしながら、音をだすときの考え方がちがうので、製作者が違えば、なにを基準として音の調整をするか、という問題にかなりの差がでてしまいます。
これが俗に言う経験の差なのですが・・・。


そして、音を安定させるために、リードを厚くし、ハーモニカのようにしてしまう。北京や上海の笛に多いですね。
これでは細かな音の表現ができなくなります。
たしかに、それで音はある程度安定したのですが。

ここら辺の秘密はすべて明かさないように僕の中にしまっておきます。ごめんなさい。


というわけで、その音程が気にいらない、という人へ。

まず、自分が使っている笛のリードが厚いものか、薄いものか、確かめましょう。

厚いものであれば、それは根本的に孔の位置が間違っています。運が悪かったとあきらめましょう。

対処法は、ひょうたんから主管をとりだし、リード側の竹筒の栓を引っ張ってください。すると音が全体的に低くなります。

栓を押し込むと音は高くなります。

そして、ソの音を調整します。

調整が完全になったら、ほかの孔を刀で彫ったり、ミツロウなどで塞いだりして調整します。
これで何とかなる場合もありますが、すべての音階がぐちゃぐちゃになるので、根気の要る作業になります。


☆☆ リードが薄い場合。

僕はこっちのほうが好きです。あつかいが難しい。
難しいからこそ、対話するんです。
自分とも対話する。
笛のよさも見つけてあげる。
笛の悪い所も見つけてあげる。

そして、それを補うように自分が呼吸を整えていく。
それが出来るようになったら、僕はその方の演奏者としての技量、そして音楽にとりくむこころはとても高いレベルにあるとおもいます。

そこらへんのガラクタでよせあつめてつくった悪い楽器であっても、その楽器そのものの癖を理解しているなら、その楽器と自分が溶け合うことのできる接点を見つけられる人なら、奏でられる曲もすばらしいものだとおもます。

では、また別の機会に楽器についてお話しましょう。

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