中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
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生きる力


先日、浜松のイベントに招かれて演奏してきた。
今年で第2回目になるというアートルネッサンス展は、浜松の街のあちこちで県内のアーティストたちの作品を展示する。

浜松駅に着いて、僕は徒歩で浜松城公園にむかった。
駅を出てすぐ小学生たちの絵が壁一面に展示されていた。このくらいの年齢の作品は自由だ。
感じたことやイメージしたことを描いている。
それが中学生になると、いかに上手く書くか、ということにこだわるようだ。
ホテルのロビーには中学生の油絵が展示されていた。中学1年生なのに写真のようなうまさ。上手だ。
でも、僕は正直何も感じなかった。それらの絵はただの物質世界を切り取った一枚の写真でしかなかった。

道端に展示されていた小学生の作品のなかに一枚僕の注意をひくものがあった。一番低い所にあってあまり気づかないだろうか。他の絵が家族との夢のような場面を想像して描かれているのに、この作品だけは違った。

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絵の前を通りがかる中年夫妻が、写真を撮ろうとした僕のそばで立ち止まった。

僕は写真を一枚撮り終え、軽く会釈した。
おばさんが笑顔で「街中に作品があって楽しいですね」と僕に言って通り過ぎていった。

今回のイベント会場は公園のなか、石の舞台。
ジャズ、現代舞踏パフォーマンスが3組、そして僕のひょうたん笛の演奏。
ステージの演出を手がけている左門君は直前まで走り回っていた。
浜松市美術館の館長はとてもきさくなかたで、さすが芸術に長年むかいあってきただけに、雰囲気に人をひきつける魅力がある。館長ファンのおばさまがたが、「魚屋さんのような人」と形容していた。知的な話が、身を乗り出して聴きたくなるようなユーモアに包まれていて楽しい。

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会場の演出は、ガーベラの花に一粒のLEDライトをつけて、一つひとつの花に灯りをともす。
それが空中のいたるところに浮いている。

最初は蛍のようなイメージかと思ったけど、闇のなかに浮かんでいるガーベラの花の色がきちんと闇の世界に浮かび上がっていた。風で優雅に揺れる花の一つひとつが幻想的だった。
左門君はもっと沢山のガーベラをつるしたかったようだが、微妙な間が広がっていて、すっきりしていてよかった。フィナーレでガーベラを上下に動かしたりする演出は見事で、あんな一瞬で終わってしまうのがもったいなかった。

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(写真はあまり幻想的ではないな)


屋外の演奏で、聴いている人に音が届いているか、スピーカーも通しているからうるさくなっていないか、少し不安だったけど、楽しんでいただけたようでよかった。
もっと嬉しかったのは、演奏の合間に掛け声をかけて口下手な僕のトークに花を添えてくれたお姉さまがいたこと。
そして、イベントが終わった後に、ある方が3年前僕が浜松で演奏したときに聴きました、と声をかけてくれた。
その一言が一番嬉しかった。


翌日、浜松の中国点心のお店「氷箱里」でランチをいただく。
店主は僕の雲南大学留学時代初期のルームメイト。
僕のひょうたん笛が下手だった頃から、ずっと聴いていてくれる。
この人の料理にかける情熱、一途さ、あきらめない意志の強さにどれだけ励まされただろう。

自家製の米麺「米線」に、自家製の豚肉のトッピングは絶品。現地の味をより美味しく表現していた。感動です。
静岡県のかたはぜひ「氷箱里」に足を運んでいただきたいです。(店主はイケ面ですよ)

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浜松に久しぶりに来て見かけた一枚の子供の絵。
浜松市美術館のもりだくさんの特別展「20世紀フランス絵画展」で巨匠たちの絵を見たあとも、気になった。

あの絵を描いた子供は、夢がなかったのか?
それとも、あれが彼が目の当たりにした現実か、夢か…。
彼が格闘して考え、描いた痕跡が残っているようだった。

その絵が僕にしばらくいろんなことを考えさせてくれた。 


街中に作品を展示すること。
ありふれた日常のなかに埋もれそうなあやうさがある。

でも、そこで気づく人がいる。
万人の受けを狙うことなどできないだろうし、芸術は受身ではなにも感じることはできないと思う。

しかし、街中に置かれた作品に気づくことで、日常のなかにも小さな感動があることを知る。
足元の雑草も食べれるものがあるかもしれない。食べれる草に気づくこと、それも小さな感動かもしれない。
すくなくとも、僕にとってはそうだ。


巨匠の作品じゃなくていいと思う。芸術作品をみて積極的に考えること、感じることは、僕たちが生きる力を創りだす過程だ。

生きる力があるから明日をもっと生き生きと楽しめる。音を奏でたいと思える。
情熱を持っている人たちにまた会いたいと思う。

それを楽しみにしてくれる人たちにも、会いたい。


すてきな時間をありがとう。




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