中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
今回は、楽器のお話しをします。

中国のフルスやバウのファンのみなさまにとっては興味深いかもしれません。

紹介する楽器はタイ北部のビー・ジュム。
「ビー」はタイ系諸語(タイ王国、ラオス、雲南各地タイ族、ビルマ・シャンなど)のことばで「管楽器」を指します。

ビー・ジュムとは、大小さまざま、3-5本で一組をなすフリーリード楽器の総称です。


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* 写真はタイ・チェンマイのヒルトライブ博物館に陳列されてあったもの。
 上部少ししか写っていない楽器はモン族の芦笙。その下の楽器は仏教寺院で一時期使われた法具としてのフリーリード楽器。
 そして、ひょうたん笛はおそらくタイヤイのもの。孔が表に7つあるのが特徴。(パラウンの笛という説明だったが)
 その下はフリーリードのビー。ビージュムの一つではなく、単体のビーリンダン。
 (ブログでは画像の悪い写真をつかっています)

中国楽器に詳しい方であれば、フリーリードときけば、ひょうたん笛ことフルス(葫芦絲)やバウ(巴烏)、芦笙などを思い出す方も多いと思います。

こちらのビージュムは1本で親指のビー、中指のビーとか、小指のビーというふうに現地では呼ばれています。
一本の竹の頭のほうにフリーリードがつけられ、中間に表のほうに7つの孔が空けられます。裏には孔はありません。

太さはさほど関係なく(多少は関係する)、長さで音の高低がきまります。
長い管のビーは低音がでます。短くなれば高音のビーになります。

ソビエトから輸入した西洋音楽の楽理と楽器改良思想のもと改良が加えられたのが現在のフルスとバウです。
どちらも現在は様々な調子があり、平均律にもとづいて調音されています。

しかし、一方のビージュムはタイ北部の音階に沿って調音され、1オクターブをおおよそ7等分しています。
音階構造に関してはマニアックなはなしになるので別の機会に譲ります。


このビージュムは、大抵ソーやカップ・ソーという即興うたの伴奏に用いられます。
ソロで演奏するよりは3人以上で演奏するスタイルです。
また、北部タイは曲のメロディを自由に崩し、原形をとどめないと感じるほど超越的に、即興の演奏形態に高めます。もちろん、演奏にはルールがあります。これもまた別の機会に。

さて、ソーは現在はお祭りに呼ばれたプロの男女の歌手によって即興で歌われます。
歌手は師についてさまざまな語彙を増やし、うたい方をまなびます。精霊との契りも交わします。
この歌手が歌う場面にはかならずビージュムの伴奏者が3人以上来ます。

サンプル音源をきいてみてください。重厚なビーの音色がいくつも自由に動いている、グルーヴ感がとても素晴らしいです。これはもともと単一のメロディしかありません。それを歌い手の歌詞を聞きながら、また他の奏者の演奏の流れの先を読みながら、自由に演奏しています。



こちらは若い歌手ふたりのうたと演奏




ベテランですね。

ユーチューブにはまだまだ沢山ソーのビデオがあります。


僕はいつかかならず日本にこのソーの歌手と演奏家たちをまねいて紹介したいと思っています。



** バウという楽器について **
さて、
現在バウと呼ばれている楽器は、名称がイ族語といわれています。
似たような名称にハニ族のアウといったものもあります。タイ族語ではビー(ビーリンダン)です。
現在のバウの音階構造と雲南少数民族の音階はまったく違います。
特に、西双版納タイ族やハニ族、イ族の伝統的な生活に根ざした曲は現在のバウでは演奏不可能です。
それは現在のバウが過度に西洋化され、少数民族独自の音楽感覚からかけはなれているためなのです。

現在演奏されている曲も、「伝統曲」と銘打つものが多々ありますが、すべて生活の音楽とはかけはなれたものであります。

ですので、少数民族の楽器というのは間違いで、本来ならば「少数民族の楽器にヒントを得た新しい楽器」と位置づける必要があります。
そうしないところが、楽器の発掘と改良を音楽の進歩・進化としてきた中国のお国柄でしょう。


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