カチン族のおまじない

カチン族のおまじない

311の地震があったとき、カチン族のコン父が僕に教えてくれた。
カチン族のあいだでは、地震は大地の下の世界に住む祖先たちが天井をたたいているためだそうだ。

「誰かいるか?」

だから、地震があったら、応えなければならない。


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「わかった、わかった、いますよ」

そして祖先たちを思い出してお供え物を捧げる。

今ではほとんどのカチン族がキリスト教に改宗してしまったが、彼らがかつて酒を飲む時は、(コン父が酔っ払うと)必ず地面に酒を数滴したたらせて祖先に捧げ、次に指で酒を空中に数滴振りまいて精霊に捧げる。
タイ族はこういうことをしない。

酩酊のなかでコン父は僕にカチン族の名前をつけた。
「コン・ザオマーン」
タイ語やカチン語では「ザオマーン」は「村の主」の意味だ。
お前の将来に期待してるよ、と僕に言う。

・・・

人間は自然環境の一部であり、今の僕達の人生は長い人類の歴史の瞬間だから、
僕達がここにあること、どうやって今ここにあるのか、たまに思い出さなきゃいけない。
忘れた頃に、ご先祖様が地面の下からノックする。

酒を捧げたか?

絶好の機会とでもいうのだろうか。
忘れていたもの、見えなかったもの、隠れていたものが、表舞台にでようと機会をうかがっている。
非日常の事態だからこそ、仮面をかぶった偽善の悪魔が徘徊している。

なんの影響力もないとほおっておいた文化や芸術のなかに、ここぞとばかりに自己主張をして悪の気配が影からチャンスをうかがっている。

こんなときだからこそ「良い事」のなかに得体の知れない強欲が潜んでいる。

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