シャマンと対決する ①

シャマンと対決する ①

ひょんなきっかけで、僕はシャマンと対決させられることになった。

これは先月、中国のタイ族の村に帰ったときのエピソード。自分の研究のため、短期間の滞在ながら毎日あれやこれやとマイペースで忙しく歩き回った。

ある日、僕はワン母につれられて、僕の占星術の師匠のその師匠にあたる人を訊ねた。といっても二人の師は年齢も同じ50代前後くらいで、僕は師の師を兄者と呼んでいる。
数ヶ月前、兄者の息子がトラックに轢かれて亡くなり、僕はワン母に連れられて弔問に行った。

兄者の村は車で1時間くらいのところで、ワン母が知り合いに頼んで送ってもらうことにした。

がっしりとした体躯の運転手はタイ族によくいる男気のある人だった。

その運転手が住む村には一人の女性シャマンがいる。
彼女の守護霊は、かつて第二次世界大戦の徳宏州における戦争で亡くなった将校だという。
運転手の話では、日本軍将校の守護霊が憑依すると、彼女は日本語をしゃべって託宣を行うらしいのだ。

彼は僕をつかまえて、この後でそのシャマンに会って、彼女が本当に日本語をしゃべっているのかどうか確かめにいこう、というのだ。
彼は半信半疑らしく、これが本当なら俺はシャマンを崇拝するよ、と笑っていた。

よく、タイ族のシャマンのなかには、他の民族の守護霊が憑依し、普段学んだこともない民族のことばをしゃべるというのだ。
ワン母も、それが本当かどうかを知るために試してみようと言った。

そんなわけで、その夜、僕はシャマンと対決させられることになってしまった。

つづく

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