中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
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親友の結婚式

去年、春節の話。

僕が10年以上お世話になってきた村の親友が結婚した。
ついに残った独身は僕一人。

僕はこの齢で結婚していないので、「マオ・タオ」(老け少年)と呼ばれてしまう…。
友人の中でも最後のマオ・タオになってしまった。

彼もなんやかんやでようやく新婦を迎えて盛大な結婚式をひらいた。
若くして村長をしてきたので人望があり、その人望と将来を考えてご両親はかなりの出費を覚悟した。

その規模は、巨大な豚6頭分。プラス、鶏数十羽、魚百匹以上。さらに、新婦の家でつかう肉を半分肩代わり。
銀の腕輪を3つ。そして女性に支払う結納が2万元などなど。

普通の農村で、これだけの結婚式は相当な負担がかかる。しかし、面子を重んじ、知人知り合いを呼ぶことを大切にするため、どうしても規模が大きくなる。

結婚式は2日だが、その前後に数日、通して1週間くらいは宴会が続くだろうか。
食事に来る人数は千人くらいいるんじゃないだろうか。

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あまり、結婚式の雰囲気は写真に取っていないけど、その一部を紹介。

とにかく家の神や村の神、祖先、天の神など、いろいろなカミサマに祝福を請うことから始まる。

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仏教徒といわれるが、その生活において精霊といったアニミズム信仰は根強い。生活に密着した冠婚葬祭では仏教よりカミサマに対するお参りがひっそりと、厳かに行われる。

祝詞を唱え、祝福を請うのは、老女たちの役目だ。その老女たちも資格があって、家が息子娘、孫ともども健康で幸せな家族であることが条件だ。離婚や病気といった不幸に見舞われていないことも条件になる。


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中国や雲南に関心がある人なら「タイ族」のことをどこかで聞いたことがあるだろう。
ただ、書籍に紹介されたり、旅行で取り上げられたり、中国国内でニュースや映画になる「タイ族」は、いつもエキゾチックなイメージだ。

ひとくちに「タイ族」といっても、住んでいる地域によって、いろんな生活文化をもっているタイ族がいる。
僕の行っている地域は、より「漢族」っぽい。

写真には漢族が祀る祖霊の位牌のようなものが見える。
「天地国親師」(民国期までは天地「君」親師だった)
祀る対象を漢字で表している。

建物も「高床式」ではなく、土間式、四合院のような建物だ。
「上座仏教徒」というのも確かだが、お寺の中には観音菩薩が祀られていたりするし、老人たちは大乗仏教の祭りを開いたり、近隣地域の大乗仏教寺院にもお参りに行く。


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ご馳走はおいしい。
10年前に昆明や都市部で食べられていた「タイ族料理」は西双版納州の料理がメインだった。
この数年は、すべて僕が行っている徳宏州の料理。僕自身のひいきになってしまうが、徳宏の料理は本当においしい。

田舎ならでは、子供たち同士なかよく小さい子供を面倒見るし、お手伝いもしっかりする。

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かつての結婚式は、もちろん今も変わらないがこの地域のタイ族衣装を着て行われる。
が、やっぱり欧米文化の影響は強く、日本だってそうだが、ウェディングドレスにあこがれる女の子は多い。

村でも最近はウェディングドレスで伝統的な結婚式を行うようになってきた。

ちなみに、都市にも新郎新婦が結婚の記念に写真をとるお店が大盛況。
もともと台湾から来た文化?らしい。
田舎でも、新郎新婦の部屋にはいるとドデカイ二人の写真が飾ってある。
ドレスはそういう写真屋から借りてくる。


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新郎が新婦を迎えに来る。
ご先祖様や村の老人、そして両親に対して叩頭し、祝福を請う。


新郎に同行する男たちがいる。
その男たちは料理のための鶏や肉を運んでくる。
厨房で朝から晩まで休みなしに働く女性たちに道を防がれ、金をせびられる。
その女性たちが新郎新婦の「契り」を象徴するあるモノを隠している。
男たちは新郎に代わって厨房の女性たちと歌を掛け合ったり、お金を出してそのモノを渡してもらう。
この駆け引きが面白い。

駆け引きが終わると、男の代表が竈で新婦をもらっていくことを告げ、許しを請う。

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ちいさな盆地で、村も近いけれど、妹や娘が家を出て行くことに、世界各地、感動は同じ。
老人たち、両親は、韻律の心地よい祝辞を唱えて若い二人を送り出す。

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いよいよ出発。
嫁入り道具を運び出し、最後に新婦は、(いちおうこっそりと)厨房に立ち寄る。

厨房にはご飯を蒸す蒸し器が置かれている。

新婦はそこで炊き立てのご飯をこっそり食べる。
この日は新郎の家に行ってもご飯をゆっくり食べられないので、ここでつまみ食いする。

…というのも建前で、この蒸し器のなかに幾ばくかのお金が包まれた袋が入っている。
新婦はご飯を食べながら、その包みを取り出す。これはヘソクリ。なにかあったときに、このお金を使うようにと、母親が娘に託すものだ。

昔は、ここから家を出るまでが非常に長かったという。
新婦は家族と別れを惜しみ、哭きの歌を歌った。
家族のこと、家のこと、家で使ったあらゆる家具や調理道具、生活用具と離れてしまうことを惜しんだ。

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村の入り口で、新婦がこれから新しい村の成員になることを、村の守護霊に告げる。
ウェディングドレスでも地面に跪く。

ちなみに、ここには村の守護霊の偶像があるわけでもない。
ここのタイ族に、仏像以外に霊の偶像はない。

村の守護霊、盆地の守護霊といえども、見えない存在だ。
守護霊は見えないが、いつもそこにいる。

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家の中に入り、居間に上る前に、斧と火のついた薪を新郎新婦は踏みつけ、それを一緒に蹴り落とす。

その後、家の中に待つ新郎の親族や村の老人たちに叩頭し、祝福を請う。

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祝福が終わると新婦はしばしば新居の部屋で夜を待つ。
ここで着替えて伝統的なタイ族衣装に着替える。

この後は、新郎新婦は客人たちのテーブルを回り挨拶をする。
そのあいだに、中年のおばさん二人が二人の部屋に入り、寝具の用意をし、ベッドに入り込んで外でくつろぐ老人や家族に聞こえるように「子作り」のあえぎ声やベッドのきしむ音を鳴らす。

ちょっと前までは、これを聞いている幼い子供たちが鶏の鳴き声を真似して叫び、二人の女性たちは「さぁ仕事だ、仕事だ」と言ってベッドから出てくる。



饗宴はつづく。
この日は夜遅くまで宴会が続いた。僕も記憶がほとんどない。新郎はテーブルを回って酒を飲まされるので、その付き合い、助け飲みをしていた。人が多い分、どれだけ飲んだのか覚えていない。

なにを隠そう、僕は新郎が従える二人の同行者の一人としてこの結婚式に参加した。特にこれといって役目はないのだが、(もちろん昔は女性たちと問答したりしたらしい)酒飲みの手伝いはやった。

親友の結婚式に参加できて嬉しい。そして、時の流れにちょっと感慨深くなってしまった。
そのうち、彼らの息子や娘の結婚式に招かれることがあるのだろう。

おめでとう、そしてありがとう。

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