中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
タイ族機織 ①

僕が住んでいた村々では変わった趣向をこらした藍染があります。
今回は機織についてご紹介します。

タイ族の人びとの生活のなかには、「架ける」というメタファーが多用されています。
紋様のを織ること、家を建てること、橋を架けること、そして「ことば」を架けること、つまり「うた」をつくることです。

これまで何度か紹介しましたが、この地域のタイ族は紋様を織ったを藍で染め、そので服を仕立てます。
変わった趣向というのは、藍染の服を洗うたびに紋様が浮かび上がってみてるようになります。

平織りのをマン・ダーンと呼び、紋様が織り込まれたを「マンガイ」と呼びます。藍染されるのはこの「マンガイ」です。
確認しているだけで約20種類あり、山を隔てた盆地によって異なる紋様もあります。用途によってマンガイは使い分けられていました。

残念なことに、この布は現在では織られることはなくなり、2008年から2009年ごろ、ある知人が興味をもったことと、僕自身の興味本位からマンガイを習うことにしました。

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上座仏教儀礼-寺院新築と仏像寄進・開眼の儀礼です。

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願掛けとして村人たちが着用していた服を掛けて仏に捧げます。かつての寺院は木造だったので梁に掛けてそのままにしていました。古い寺院は少なくなってしまいましたが、かなり古い服を見ることもできました。

すでにこの地域では綿花から綿糸を紡ぐことはなくなりました。50年代には隣国ビルマから雲南の辺境地域に安価な既成品が流通し、現在は中国内部から流通しています。


まずは切れやすい綿糸の強度を増すため、白米を蒸し炊きし、さらにその飯を鍋で茹でた汁に束になった綿糸をつけます。
場合によっては米を臼でひき、それを溶かした水につけます。
そしてごはんを蒸す鍋でしばらく蒸します。

米の種類は、普段主食としているお米(うるち米―ジャポニカ米)ではなく、粘り気のある米(うるち米もしくはインディカ米)です。これらの米は近年では作られなくなっていますが、米麺などに加工されて食されます。

IMG_1321.jpg  IMG_1317.jpg  IMG_1319.jpg 
米汁につけた綿糸の束を絞り、乾かします。乾かすとき最初は錘となる竹で伸ばして乾かします。




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経糸(たていと)や緯糸(よこいと)巻き 。糸を小管に紡錘型に巻きます。
おお、村にいるときは肉がついてた僕。日本に帰って痩せた…。
(この緯糸巻きの前にもいくつか工程ががりますが、省略します)


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整経


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筬(おさ)選び。の幅を決めます。


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筬(おさ)の櫛の隙間に経糸を通します。
こんなかんじで経糸を通します。


筬(おさ)を通した経糸を巻いていきます。

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絡まらないように櫛ですきながらゆっくりと巻きます。糸が緩まないようにしっかりと糸を張って巻きます。
糸を巻いているおばちゃんのお尻側に棒が一本差してあります。
姿勢を正し、重心を落とせるようにする工夫だそうです。

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このとき、作業している人も見ている人も「手を後ろに組む」ことはタブーです。ところどころ糸が絡まらないように棒で叩いて「出て行けー、行け、行け、行け!」と唱え、「精霊」を追い払います。

ちなみに、このとき本当は男がいてはいけません。僕自身が織るための経糸を巻いてもらっているとき、その様子を観察していたせいで糸が切れやすく、また絡まっている糸も多く、午前中で作業が終わらないという事態がありました。
男がいるとこれだから…、という文句がちらほら聴こえます。


機織は農繁期前から準備されていたようです。農作業の忙しい朝も夜も、若い女性は一生懸命機織をしたといいます。農閑期になると結婚式や儀礼が多く、村人たちは糸を準備する時間が取れなくなります。
は一人で織りますが、その前の準備は知人たちとの協働作業です。逆に言えば、準備さえできてしまえば、あとは織るだけなので簡単な単純作業です。
織りはできるけど、下準備ができない、というオバサマたちも結構います。


つづく




コメント
ごぶさたしています。タイ族の織物、興味深いです。紋織りを藍染めで染めて、だんだんと紋様が浮かび上がる、使うほどに美しくなるということがすばらしいですね。みんぱくで開催されている織りについての特別展に合わせて、書いてくださったのでしょうか。期間中に、なんとか足を運びたいと思っています。
 
 
2012/09/22(土) 21:23 | URL | manami #BXnGd9FU[ 編集]
Re: タイトルなし
そうですね。みんぱくにも徳宏の織機があったので、思い出してみました。近々続きをアップします。ちなみに「腰機3-4」がそうですが、キャプションの表記にミスがあって西双版納となってます。藍染の布は展示されてません。
 
 
2012/09/24(月) 01:03 | URL | サトル #-[ 編集]
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