中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
タイ族の機織 ④ 藍染

たいてい村では夏が過ぎようとするくらいに泥藍をつくり、翌年の水掛祭りの前や、本格的な雨季や雨安居入りが来る夏前に染めます。

その時期は女性たちがおしゃれをして寺院に上がるので、晴れ着を仕立てるために先に藍染するのです。

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こちらの服は、40年近く前、僕の親友のお母さんが旦那さんと結婚するときに、旦那さんのために仕立てた服。
一度着ただけで後はしまっていた。それを僕なら着れるだろうと譲ってくれた。
親友たちにも「俺らの趣味に合わないし、せっかくだからもらってくれ」と言われた。

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藍染するための泥藍の出来によっても色は違うという。結構なこだわりがあるので、色に様々な名称や区別があるのかと調べたが、とくに言語化されていなかった。
わざわざ言葉にしない、言語で概念をつくらない、感性をそのまま身体で楽しむ。

言葉で表現しなくても、手はその色を再現できる。
染めの知識と技術、そして感性は、女性たちの間では脈々と受け継がれてきた。

生活のなかで身体に染み付いた、感性を表現するわざ。

世界にはどれほど言葉で言い表しえぬものがあふれているだろう。だから、自分の手で触り、つくること、体験することは面白い。
言葉とは違う表現の方法を工夫する。生活の中では、そんなちょっとした工夫が無限に組み立てられ、やがて消えてゆく。


まずは泥藍づくり。工程をかなり省いて紹介します。詳しく書こうとすると長くなるもので。それに、ほとんど勘や経験に近いものばかりで、身体で覚えるしかありません。

藍は2種類つかっています。どちらか一つでもいいそうです。
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右は種が実ります。家の裏庭の日陰にわんさか生えてます。

まずは庭から運んできた藍を軽く叩いて繊維をつぶし、甕のなかに入れます。
そして甕いっぱいに水をいれ、数日おきます。すると次第に水が褐色に変わります。
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左が水を入れたばかり。右はほぼできあがり。
あとは水の中から藍をとりだし、石灰を加えながらあわ立てて生きます。
石灰を加えすぎてもいけず、調整が難しい。竹で作った攪拌用の道具でじゃぶじゃぶ。

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一晩おくと上澄みと藍が分離するので、上澄みの水を掬って別のバケツや甕に入れます。
泥藍は乾燥させず、小さな坪に入れ、葉っぱで蓋をして暗い寝室の片隅で保管します。

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こちらはいろいろ調合しながら色を作っていきます。



後日…

いよいよ染めの作業です。村ではほとんどの女性が藍染の知識を一応もっていますが、やはり上手な人がいるので近年はベテランのおばあちゃんに染めてもらっているようです。染めの料金は、1反100円以下。要望どおりの色に染めてくれます。

染めの下ごしらえに2,3日かかります。評判のいい家では常にいつでも染められるように泥藍をを溶かした液体を良好な状態に保っています。

適当な分量の水が入った瓶のなかに泥藍を入れ、灰汁をたしていきます。さらに、50度のおいしい米酒を染めをする数日間適時適量を加えます。山からとってきた植物、ライムなどを少々足します。
液体の「色」や「におい」がバロメーターのようですが、経験値の低い僕にはまだよくわかりません。


を洗って綿糸に付着している米粉を洗い流し、染めの準備完了。
甕には色の様子を見ながら必要であれば泥藍を加える。
ざぶざぶ攪拌。ちょうどいい色になったら染めの開始です。

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ムラができないようにはあらかじめ畳んでおき、ゆっくり瓶のなかに入れていきます。
1回目の染めたての色はこんなかんじ。外気に晒すと色が深まって藍色になります。

このあと何度も染めます。たりなければ翌日も染めます。


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の保存の仕方もいくつか方法があるそうで、面白い方法には、ある程度乾いたら畳んで木の棒で叩き、そのまましまうそうです。カビないんでしょうかねー。不思議です。

こちらでは黒いスカートの泥染めや、草木染もかつてはあったそうですが、すでに誰もやらなくなりました。同じように合い初めの技術も若い人には伝わらなくなっていくのでしょう…。



上座仏教の寺院にて。
皆さん夏の3ヶ月の雨安居で寺篭り中。藍染の服を着ているのはこの年の見習い在家者です。数年すると白装束を着ます。
紋様のパターンは確認しているだけで20種くらい。地域によっても違ったり、状況によっても使い分けられています。

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晴れ着。右の写真の服は少し色がおちて、紋様が浮かんでいます。(写真では色があまり綺麗ではない)
この地域ののは、藍染した後にを洗いわざと色落ちさせます。すると紋様が浮かんで見えてきます。
珍しい趣向です。他の地域ではないようです。
晴れ着は娘時代に織ったを染めて仕立てています。かつては、娘時代にほぼ一生分の布を織っておかねばならなかったといいいます。

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男性の衣装です。本来はじゃらじゃら銀細工をつけます。僕の演奏の衣装もおんなじ。

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仏像寄進儀礼にて、手織りの藍染の服を着た女の子


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すぐにいい写真が出てきませんでしたが、こんな感じで色落ちする。左右とも既にかなり洗いこんで色が落ちてしまった。
もっと青と白のコントラストがはっきりした服も見かけます。

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染めたての布は藍のよい香りがします。このとおりすっかり綺麗な藍色に染まっています。これが洗うと上記の写真のように色落ちします。
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