中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
今朝は4時半に目が覚めてしまった。昆明は6時半でもまだ暗いのだから、この時間は闇だ。
「闇」という文字は門と音からなる。寝付けなくて僕が所属する学校の学生にどんなレクチャーをするか考えていた。

昆明の現在、見た目は世界の都市と変わらない。コンクリートの建物だらけだ。木造の建物などほとんどない。観光用に作られた商業施設くらいか。9年位前と今では天と地の差もあるような気がする。
でも、人の中身はどうやら変わっていないところが多い。よく昆明に来る友人たちも、中身は変わらない、という。

中国人は、といっても、僕は雲南と上海しか知らないけど、大きな音が好きだ。好きなのかどうか、とにかくうるさいくらい、生活をしていると音に鈍感じゃないかと思うほどでなんでも大音量だ。


人が井戸端会議でしゃべるときも顔を近づけてつばをまきちらしながら大声でしゃべっている。
痰を吐く音。公共トイレのなかの排泄の音・・・。
店の売り子の客引きの声。マイクを使ってどなりちらす音。音が割れていて聞きづらくてもいっこうにかまわない。
携帯電話でしゃべるときの声。
バスや車のクラクション。
高速バスのなかで夜中まで大音量でDVDやVCDを見る。
ある友人が言った、テレビの最大音量は中国人のためにある!

まだまだきりがない。

でも、いろんな意味で感覚が鈍感なのか、一昔前の感覚が体験できる。そんなところも今の昆明の面白さのひとつか。

まちなかの公共トイレから臭う排泄物のにおい。
道端の一角に生ごみを平気で捨てるから、夜中と朝方に漂う生ごみのにおい。
におってるのかどうかわからないけど、子供のウンチや小便。最近は犬も多い。
何日も風呂に入っていない農民やめんどくさがり屋の体臭。
一昔前のフランスなら公衆衛生のために匂いの元をすぐさまたちきっただろう。

そして音。

いまでも時たま馬やロバのひずめの音を耳にする。
ちょっと汚い路地、ごみごみとした住宅地を歩くと、若い女の子の陽気な歌い声。
道端に古くなったお茶を投げ捨てる音、道路の道端で髪の毛を洗う音、洗濯の音。
老人たちが顔を1センチくらいの近くで、ヒソヒソ話で内緒の話をしているのに聞こえてくる声。
道端で子供を怒鳴りつけるヒステリックな親。はては殴る音。
くちゃくちゃ音を立てながら道端にしゃがんで食事する音。

そして
物売りのいろんな音、声・・・。

ティえーーーんバーーーーぃじゅーーーーーー
甘酒を売る声や

トンテンカン、トンテンカン
鉄をたたいて刃物磨ぎの音、砂糖売り、などなど。

蜂蜜売り、あとはなんだろう、とにかくいろんな歩いて物を売ってまわる人々の音がある。

こうした音は日本ではめっきり減ってしまった。

こんな音を耳にすると、いつも子供のころを思い出す。
チャルメラは日本では物売りの記号だが、音が大きすぎて日本人の音楽感には合わなかったのだろう。中国の農村じゃ今も結婚式やらで演奏される。祭りの欠かせない楽器だったりする。

それで、子供時代を思い出すといえば、団子屋の鐘の音。
昔育ったところでは団子屋のおじいちゃんが屋台を押し歩いて団子を売って歩いていた。子供のころはそれがとても楽しみだった。僕はゴマが大好きだった。弟はしょうゆ。あんこはめったに食べなかったな。
よくこの団子屋のおじいちゃんのことを思い出す。鐘がチリーンとなると近所の人たちがわらわらと出てくる。近所話も始まるのだ。きっとあのおじいちゃんはもうこの世にいないのかもしれない。

日本は隣人関係がますます悪くなった。中国ではいまも夜になると近所の人たちがマージャンを始めたり、トランプを遊ぶ。老人たちにいたっては朝からだ。ジャラジャラ

隣人関係の悪化には、こうした共通の音の欠如も関係しているのかもしれないと、ふと思った。

昆明の物売りの人たちの生活はきっと貧しい。
でもきっと、こうした人たちの声や音は年をとったとき懐かしくなるんじゃないかな。精神的な、心理的な安定剤のような気がする。畑仕事か何かの仕事を終えて決まった時間、決まったルートを歩いてくる物売りの人。
こうした人たちの仕事にもっと敬意を払える、そんな世界があったらどんなにすばらしいだろう。

みんなの音、みんなの声がまもられていくなら、世界はきっと不思議な調律でありつづけるだろうな。


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