中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
幻の2 ……ホンシャー(紅沙)

前回の酒の話はこちら!

手造りの完成!

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春節前からどうやら騰沖のタイ族が芒市の市の日に自家製の麹を売りに来ている。もち米と山の植物を混ぜて乾燥させたものだ。

好奇心は変わらず、この自家製麹を買って村のおばさんにを造ってもらった。

そして3ヵ月後、ついにすべての工程を手造りでおこなった自家製のを飲むことになる。
僕が自家製麹を買ってきておばさんに酒を造ってもらった噂はすでに村の男どもに知られ、僕が村にやってきたときにはすでにその酒は半分も残っていなかった。
じっくり味わうと、苦味がつよい。老人に言わせると天然の自家製麹は身体を傷つけることはないから、いくら飲んでも大丈夫! と、宴会が始まるのであった。

まだできたてのなので舌に来る刺激は強い。

近くの村にある工房の女社長も自家製麹を阿昌族の村から持ってきてを造ることがあると言う。たいていはオーダーメイドなので一般用には造らない。しかし、独特の苦味は消すことができないので、遠く離れた麗江の工場で作られた麹を1:1で混ぜて使っているという。

ちなみに、工場の麹の原料は芋系の「木薯」(キャッサバ)と呼ばれるでんぷんを多く含んだ植物が主な原料となる。このキャッサバは近年徳宏の山地で大量に生産されているらしい。遠く離れたラオス北部では徳宏の人々が中国の会社に派遣されて出稼ぎに行き、サトウキビとキャッサバを植えているのだが、ラオスに滞在していた友人から電話があり、環境に対する悪影響、循環の破壊が問題になっているという。

幻の ……ホンシャー(紅沙)

タイ族の人々の間では幻のがもう一つある。
その名も「ホンシャー(紅沙)酒」

造られた酒の色がウィスキーのように黄金に輝いていることから名づけられている。普通の酒は無色の酒なのだが、このホンシャー(紅沙)酒は金色。なぜ変色するのかよくわからない。

酒造りをするのは女性の仕事だ。
酒のタネを煮込んで蒸留させる過程で外の気温、火の加減、酒タネの状態がうまい具合に掛け合って偶然に造られる酒だという。

一生に一度造れるか造れないかといわれるほどの酒である。
そのため、もし蒸留して滴る酒の色が金色だとわかると、女性はすべての酒が蒸留されるまで一言もしゃべらない。

緊張の瞬間が続くのだ。
なぜなら、ひとたび「ホンシャー(紅沙)酒だ!!」とでも言おうなら、酒の色は消えてしまい、普通の酒になってしまうというからだ。

そのため、家族の旦那さんや老人も、もしも酒を造っている女性が妙に神妙で口数が少ないときは、これはきっと「ホンシャー(紅沙)酒」ができたに違いないと思って、邪魔をしない。周りの人が台所をうろうろしたり、「ホンシャー(紅沙)酒」だとでもいおうなら、金色の酒は無色にかわってしまうのだ。

だから女性は心の中で「ホンシャー(紅沙)酒だ、ラッキー」とひそかに喜ぶ。

幸運にも、ある友人のお母さん(60歳)がこの幻の酒を生涯で初めて造ることができた。そしてその酒は友人が僕と酒を飲む時のためにとっておいてくれたのだった。

毎回、この友人を訪れると部屋の奥からホンシャー(紅沙)酒のカメを取り出し、僕ら二人はじっくりと酒の味を味わう。

造りたての頃のホンシャー(紅沙)酒はまさにウィスキーのようにアルコールが鼻からすっと抜けていく感じだった。数ヶ月寝かされたホンシャー(紅沙)酒はアルコールの独特な鼻にかかる刺激はなくなり、口に入れ、舌に乗せても強い刺激はなく、やわらかく、まろやかで、まったりとのどに落ちていく。そして後からジワッと酒の刺激がのどに湧き上がるのだ!!
幻の一品と言われる理由がよくわかる。

先日、僕と友人はホンシャー(紅沙)酒をすべて飲んでしまった。
このさき、この生涯でホンシャー(紅沙)酒を再び口にすることができるかわからない。


コメント
なんとっ!なんとなんと
 うらやまし~!!!!!

 なんか、昔は
 お米を女の人が
 口に入れて噛んで
 発酵させてつくってた
 というような

 こと、聞いたことがあるような
 ないような。

 それにしても
 お味噌もそうだけど
 ぬか床とか、麹とか
 発酵するものって
 それをつくるひとの
 身体や心の状態が
 もろに でるものらしいです。

 きっと、そのおばちゃんも
 ホンシャーみたいに?
 素敵な人なんだろうね。


 
 
2008/03/07(金) 09:48 | URL | 享子。 #-[ 編集]
そんなお酒のんでみたい! 可愛い女の子が噛んで造ったお酒ならさぞかしおいしいだろう・・・。
 
 
2008/03/14(金) 13:32 | URL | サトル #-[ 編集]
とても美味しそう。
自家製の麹でつくった自家製の酒。
そんな酒で酔えるのはとても幸せな気分になるだろうな。

ちなみにその麹を混ぜて魚を発酵させたものとかはないのかしら?ね…
 
 
2008/03/15(土) 14:17 | URL | タマリンド #-[ 編集]
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