中国雲南、タイ、ラオス、ビルマの人、生活、そして音楽。 ひょうたん笛(葫芦絲)演奏者が綴る「おと」、「ことば」  
お知らせ
 
 ☆ 国立民族学博物館にてマルチメディア番組『徳宏タイ族のうた』公開中
    (2010年6月より みんぱくビデオテーク)

 ☆ 「これまでのライブ履歴」

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間(あいだ)にあるもの ―ひょうたん笛と葫芦絲(フルス)の狭間で揺れる人びと ④


2001年秋、僕は大学を卒業し、雲南をあとにしてタイ・チェンマイへ向かった。
そして、しばらくしてからチェンマイで知り合ったタイ人の友人達と一緒に演奏するようになった。

北タイはかつてラーンナー王国が栄えていて、歴史的にビルマ・チェントゥンのタイ族や雲南の西双版納のタイ族、ラオス北部ラーンサーン王国が栄えたルアンパバーンともつながりが深い。この地域はどこも「タム文字」を使っていたし、言葉の方言さもさほど大きいわけではなかったようだ。

大抵、ここの人たちはビルマのタイ族のひとつ、「タイ・ヤイ」(シャン)のことは知っていても、徳宏のタイ族のことは知らない。
だから、毎回僕の演奏する「ひょうたん笛」の紹介は「雲南の西双版納タイ族の楽器です」といわれてしまう。
彼らからすれば、中国のタイ族は西双版納くらいしか思い浮かばないのだ。



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かつて村にあったエン先生の工房。いまはもうない。2004年3月撮影


  
間(あいだ)にあるもの ―ひょうたん笛と葫芦絲(フルス)の狭間で揺れる人びと ③



ひょうたん笛、フルスから少し離れて、広く社会を見回してみよう。

民俗的なもの――今の私達のカテゴリーでいう芸術の範疇に納めてしまうような音楽、楽器、演劇、絵、彫刻、刺繍、踊り、食、などなど――は、本来の文脈とは切り離され、グローバル化した社会において様々に流用されている。
流用する意図のほとんどは、経済的な消費の対象として、商品化に関係したものだといえるだろう。

たとえ、それが、経済社会で生きる芸術家の「民俗からインスピレーションを受けた」という御託であっても、最終的に芸術家は生きるために作品を評価されるシステムのなかへ、アートワールドへ投げ入れて、自分の地位を確立しなければならない。

タイムリーな話で、毎日新聞 が8月10日(水)21時45分配信した「<エルメス>メキシコ先住民族に熱視線」がある。

「フランスの高級ブランド「エルメス」は先住民族の一つ、オトミ族の伝統的な刺しゅうを新作スカーフのデザインに採用し、3月から日本など40カ国で売り出している。・・・・・・「村はうち捨てられた場所だった。オトミ族の文化が世界中で認知され、作品がもっと売れるようになるかもしれない」。自分のデザインが採用されたビセンテさんは「エルメス効果」に期待する。だが、エルメスのスカーフが1枚5360ペソ(約3万7000円)もすると知り、驚いている。ビセンテさんは下絵1枚を150ペソ(約1040円)で売って生活しているのだ。・・・・・・
ビセンテさんはエルメスのスカーフのデザイン候補として10枚の下絵を描き、サンニコラスと隣村サンパブロエルグランデの女性計7人が刺しゅうを施した。エルメスはその中から二つの柄を選び、使用権を計5000ユーロ(約57万3000円)で買い取った。支払いの半分を大衆芸術博物館が受け取り、残りはサンパブロエルグランデの小学校改修費に使われた。・・・・・・」

エルメスは先住民アーティストの足元をみている。わずかなライセンス使用料しか払わない。
(他社が流用するのを防ぐために、著作権という近代社会の価値観で人間の創造行為=芸術を束縛しようとしているわけだが…。)


間(あいだ)にあるもの ―ひょうたん笛と葫芦絲(フルス)の狭間で揺れる人びと ②



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タイ族のひょうたん笛は、中国少数民族を代表する楽器「フルス(葫芦絲)」に発展した。
この発展が意味しているのはなんだろうか?
それは、村と外の世界を繋ぐネットワークの拡がりだろうか…。

(おさらいになりますが)
すでに村では、かつて恋愛に用いられたという習慣はなくなり、今ではその伝承と楽器製作の技術と知識、そして伝統曲が残るだけだ。
一方、商品として売られる楽器はタイ族の手を離れてより広い中国全土で販売されるようにり、VCDやCDは大量に出版され、学校教育にも取り入れられるようになった。
時がたつにつれ、フルスはどんどん広い広い世界のなかで流通する。

村の楽器職人は外部の都市の職人や販売業者の収入と比べたら少ないので、彼らは構造的な弱者になる。
しかし、ローカル地域では経済収入が多い方だ。彼らの村での生活は格段とよくなった。
例えば、同じ職人でも銀職人はフルスより手間隙をかけて銀細工を作っても、収入はほとんどない。それは買い手がすべてローカルの村人達だから、下手に料金を引き上げることができないのだ。職人が芸が非常に細かい一対の銀の腕輪をつくるのに、最低2日はかかる。それでもらえる手間賃は40-50元だ。フルスなら、一日で最低3-4本は作れて、1本につき100元くらい稼げる。もちろん、村人が欲しいといってきたときは、職人は人間関係を考慮して安く譲ることはある。
こうして、外とつながりのあるフルス職人は経済的に地元の人々しか相手にできない村の職人よりも稼ぎがいい。


間(あいだ)にあるもの ―ひょうたん笛と葫芦絲(フルス)の狭間で揺れる人びと ①


ひょうたん笛、中国語でいう「葫芦絲(フルス)」は、ここ数年にかけて中国全土で流行している「民族楽器」だ。中国全土200ヶ所を越した空港ではこの「フルス」がお土産として売られ、小中学生の音楽の授業や課外活動そして習い事でも大人気であり、CDやVCD、DVDがたくさん出版され、検定試験やコンテストも多く開かれている。
楽器屋やインターネットには、竹とひょうたんで作られた古い形態のものは見かけなくなりつつあり、変わって木製やプラスチックの楽器が増え、値段も400元から上は上限なく、1200元を越える値段の楽器もある。
そう、今では「フルス」は金のなる木なのだ。


中国には改革開放政策の一環として1979年から深圳、珠海、汕頭、廈門、海南省(1984年)が経済特区として外国企業の進出への門戸を開いた。これまでもいくつもの都市が試験的に経済発展の実験的な区域としてある。

徳宏州の瑞麗は、2011年より広西省東興、新疆カシュガル(喀什)、内蒙古マンシュリ(満洲里)とともに「国家重点開発開放試験区」として始動した。徳宏州はミャンマーを抜けてインドへと繋ぐ貿易・交通網の開発計画の中国側の窓口として、高速道路や線路の開発が始まっており、今後ますます徳宏州をめぐる環境は変化するだろう。

そんな社会のめまぐるしい展開をよそに、僕のタイ族の友人数名は、今日ものんびりと「フルス」を作っている。


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馮怀利 制作の「葫芦絲(フルス)」
今回は、楽器のお話しをします。

中国のフルスやバウのファンのみなさまにとっては興味深いかもしれません。

紹介する楽器はタイ北部のビー・ジュム。
「ビー」はタイ系諸語(タイ王国、ラオス、雲南各地タイ族、ビルマ・シャンなど)のことばで「管楽器」を指します。

ビー・ジュムとは、大小さまざま、3-5本で一組をなすフリーリード楽器の総称です。


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* 写真はタイ・チェンマイのヒルトライブ博物館に陳列されてあったもの。
 上部少ししか写っていない楽器はモン族の芦笙。その下の楽器は仏教寺院で一時期使われた法具としてのフリーリード楽器。
 そして、ひょうたん笛はおそらくタイヤイのもの。孔が表に7つあるのが特徴。(パラウンの笛という説明だったが)
 その下はフリーリードのビー。ビージュムの一つではなく、単体のビーリンダン。
 (ブログでは画像の悪い写真をつかっています)

 
 
 
 
 
 
 
 

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